116A67でPBC(原発性胆汁性胆管炎)の組織像としてCNSDC(慢性非化膿性破壊性胆管炎)が提示されていました。
自験例を提示したいと思います。また、PBCでは肉芽腫性胆管炎も診断的価値の高い所見です。出くわす頻度はそう多くないですが、せっかくですから提示いたします。
CNSDC, 慢性非化膿性破壊性胆管炎
まずはCNSDCです。画像の中心に縦に配列する胆管があり、胆管を中心に炎症性細胞が多く浸潤しています。胆管にもリンパ球浸潤が生じています。
Granulomatous cholangitis, 肉芽腫性胆管炎
肉芽腫性胆管炎です。胆管を中心に、炎症性細胞が多く見られます。先程の写真との変化としては、まわりにある肝細胞よりも赤みが少ない(淡い紫色とでもいいましょうか)細胞が複数見られます。これが類上皮細胞です。胆管を中心に類上皮細胞が集まっており、類上皮細胞性肉芽腫を形成しています。これが肉芽腫性胆管炎です。
類上皮細胞性肉芽腫
ほか、類上皮細胞性肉芽腫が散見されます。小型のものは見つけにくいので、目を慣らしてみてください。肉芽腫をみたら肉芽腫形成性疾患(サルコイドーシスなど)を考慮しますが、肉芽腫自体に疾患特異性はありません。薬物性肝障害でも出ます。
2個目は小さいですが画面ほぼ真ん中にあります。
再薄切のすすめ
実際の病理診断に際して、PBCではCNSDCや肉芽腫性胆管炎はよくみる変化ではありません。臨床的にM2抗体陽性で胆汁うっ滞性肝障害がみられたときに、PBC疑いとして肝生検をされたときに、よく見る変化は、「小型の門脈域を主体とした、ムラのある慢性炎症性細胞浸潤」と思います。そういった、PBCとみても矛盾しない組織像をみたときに、ぜひ再薄切標本やstep cutないし深切り標本を作製してみることをおすすめします。
肉芽腫性胆管炎をみたときの再薄切標本がこちらです。先程よりも類上皮細胞が少なくなりました。薄切面が変わるとあらたな所見がみられることがありますので、こと所見が不均一に見られるPBCでは深切りなどをおすすめします。
Take home messages
PBCにおいて、肉芽腫性胆管炎はCNSDCと並んで診断的価値の高い所見である
が、いずれも遭遇する頻度は少ない
再薄切標本や深切り、step cutなどをすることで肉芽腫性胆管炎が見られる場合がある